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| 去る、2003年3月4日に天文研究会の2002年度春合宿が行われた。 この春合宿は毎年、年度末に行われる合宿で、通常の合宿と大きく違う点は 次年度の活動方針や活動予定等を定めるための会議を行うことにある。 もちろん、天体観測も行うが、会議が重要なファクターとなっているのが春合宿の位置付けだ。 合宿が行われる場所は、群馬県と長野県の県境近く、浅間山の麓にある北軽井沢で、 ここは2002年の秋合宿のときに来た場所であり、天文研には馴染みの深い場所である。 宿泊は、観測場所から歩いて10分程のところにあるペンション「艮山荘」。 このペンションは比較的リーズナブルな値段と、周囲に住宅地がないとう条件を兼ね備えた宿で、天文研の合宿には最適な宿だろう。 合宿では、機材運搬を担当するレンタカー組と、電車組とに別れ、それぞれ現地に向かった。 レンタカー組が運搬する機材は、カメラ・三脚・ポータブル赤道儀の三つで、望遠鏡は修理中で持って行けかなった。 私は当然のことながら・・・・レンタカー組だ。 現地は標高1,000mの高地であることから、夜は冷え込むことが予想されたが、その予想はどうやら甘かったらしい。当日、碓井軽井沢ICを降りたレンタカーは軽井沢市街へと向かった。 時間は12時。真昼だというのに、道路沿いに設置された気温計は-4度を表示していた。 目的地は軽井沢を抜けて、峠を超えた場所にあるというのに、既に氷点下を割っている この状態では、現地の気温は相当低いことが予想された。 果たして、現地の気温は長時間の観測に耐えうるほどのレベルなのだろうか。 そんな疑問を抱いて峠を通るレンタカー組の目の前に、再び気温計が見えてきた。 秋合宿ではおスギが時速20kmという超スロースピードで通過した峠を通常の3倍の速度で通過していたが、その気温計が表示していた数字はしっかりと脳裏に焼き付いた。 -9度 時刻は12時半だ。小学校の理科で習った記憶を思い出すと、1日の最高気温は14時に記録される。 12時ということは、1日のうちでも最も気温が高くなるはずの時間帯であるのに、 -9度というのは群馬県とは思えない値だ。 夏のシベリアでも、もっと高い温度を記録するだろうに。 確か、100Km離れた東京では4度だった。 出発したころは晴天だったが、天候はいつのまにか吹雪となって視界を遮っていた。 あちこちを放浪して、ペンションに辿り着いたのは14時。 気温は-8度まで回復していた。 ここで、電車組の連中を駅に迎えに行って、15時には全員が宿に到着。 16時に早速会議を始めた。 会議は食事を挟んで行われ、22時までにつつがなく終了した。この会議で決まった 事項は、これからの天文研の活動予定と、学習会の内容を刷新するということだ。 さて、22時になって、いよいよ観測。 宿を出ると、星が見える。 が、11月初旬の星空比べると、心なしか精彩を欠いているように感じたのは気のせいだろうか。 とにかく、観測地に向かってみることにした。 観測地は、秋合宿や獅子座流星群観望会を行った場所と同じ場所だが、今回は雪が積もっていることで、一体どこまで車で行けるのかが心配だった。レンタカーはマツダのデミオ。FFのノーマルタイヤである。
ノーマルタイヤで雪道を走るということは、一度でも体験したことのある人間ならばその恐ろしさが分かるだろう。4WDのスタッドレス装着車ならば、大抵の道は通れるもののレンタカーでは、通行できる道は自ずと限定されて来るのである。 そう思いつつも車を観測地に向けて進めていると、案の定、途中で大量の積雪に阻まれて車を止めざるを得なかった。そこで機材を下ろし、現地までは徒歩で進むことにした。 しかし、大量の積雪は観測地に向かうための道路を完全に隠し、一体どこが道路でどこが畑なのか。
判断がつかない白い雪原を見当をつけながら観測場所に向かう。 観測場所と思われる場所に着いてみたものの、辺り一面が白い雪で覆われていて、果たして、ここが観測場所となる空き地なのか、キャベツ畑なのかさえも分からないまま、とりあえず見当をつけた場所に陣をはった。 ところが、肝心の空の様子が思わしくない。全体的に霞がかったような星空だ。 この星空では良い写真が撮れないと思っていたが、ふと、目を東に向けると暗雲が立ちこめてきているではないか。 観測地はほぼ無風状態だったが、次第に風が出てき始め、暗雲の訪れと供に強くなってゆく。そして、ついに雪が舞い始めた。既に夜空で輝いている冬の星たちは姿を隠し、辺り一面、雪が舞う 景色となった。 こう書くと聞こえが良いかも知れないが要は吹雪になってしまったということであり、辺り一面遮るものが何もない雪原で我々一同は、身を低くしてじっと吹雪が過ぎ去るのを待つしかなかった。 十分後、ようやく吹雪がやんで、一同双眼鏡を手にしたり、カメラを手にして各自好きなように行動し始めた。私も当然のように三脚を片手に持って最良な被写体を求め、辺りを徘徊した。 吹雪が止んでから天候は見違えたように回復し、何枚かの写真を撮ることができた。 雪原にエマージェンシーシートを広げて、寝ながら星を見ている人もいる。 そんな風にして2時間も経っただろうか。再び天候が怪しくなってきたのと、-10度を下回る冷え込みにネを上げた者が出てきたので、初日の観望はこの時点で終了とし、ペンションに帰った。 ペンションに辿り着いた我々は、ペンションの扉に手をかける。 が、 施 錠 さ れ て い た 一同の間戦慄が走る。氷点下10度を下回るこの酷寒の地で、朝まで過ごす・・・ 最悪のシナリオが脳裏をよぎる。 渉外が必死でペンションのオーナーに電話を試みるも、深夜なのでつながらない。 絶望的に思える状況で、私はペンションの隣に建っている別館に行ってみた。 この別館というのは、2000年の秋合宿で泊まった場所で、大量の昆虫が発生し大パニックとなった場所である。今となっては良い思い出になってしまったが。 ひよっとすると、別館なら・・と思いつつ。別館の扉に手をかける。 祈るような気持ちで引き戸を引いた。 すると、カラカラと乾いた音を立てて、静かに扉が開いた。 幸運にも別館には施錠がされていなかったのだ。 私はペンションの前で途方に暮れている皆を別館に誘導し、事なきを得た。 別館に移動して30分も経っただろうか。ようやくオーナーと連絡がとれたようで、無事、ペンションに入ることができた。一時はどうなることかと思っただけに我々一行は、深い眠りに着いた。 翌朝、朝食を終えた我々は、各自好きなように振る舞った。私と他数名は、近くにある草津温泉に行った。時間は12時を少しまわった頃だったが、空には鉛色の雲が立ちこめていて決して清清しい天候ではない。草津温泉に向かう道中にも気温を示す電光掲示板が何ケ所かあったが、軒並み氷点下を指し示していて、昨夜の寒さが蘇ってきた気がした。 温泉に浸かってペンションに帰ると、時刻は15時近くだった。夕食は18時なので3時間ほど暇な時間がある。その機に乗じて、あちゃこが散歩をしたいと提案し、ペンションに2名を残して、大勢で散歩に向かった。 先導は言い出しっぺのあちゃこが行ったが、正直、目的地を告げられないままの散歩というのは、疲労感が増す。本当に増す。しかも運が悪いことに、歩道の除雪が完全ではなく、一部では完全に氷結しているところもあり遅々として歩みは進まず、疲労がつのるばかりであった。
散歩行かなきゃよかったなーと思い始めてみたものの、既に後には引けず、ただ黙々と歩いた。ペンションから1時間半で歩ける所まで歩く予定だったらしく、出発から1時間半程経過したところで、一同は折り返すこととなった。 記念に「カーコンビニクラブ」の前で写真を撮る。
そして、再びペンションに向けて歩き出した。今度は宿泊場所という明確な目的地があるため疲労は感じないが、やはり歩道の結氷に辟易させられた。帰路に着いて30分もしただろうか。 黙々と歩く我々の横に、1台のマイクロバスが止まった。 ?????????と思っていると、バスの窓からおじさんが現れ、 「あんたがた、どこに行くの?」 と、聞いてきた。 ん、これは も し か し て ・・・逆ヒッチハイク? 私は正直にペンションに帰るところであると告げて、ペンションの場所を教えると、そこまで乗せて行ってくれるというではないか!このときほど、文明り利器としての自動車の存在を有り難く思ったことはない。 おじさん、ありがとう・・ 夜、21時になって観測地へ赴いた。 昨日のように途中で車を止めて、徒歩で観測地を目指す。 空は快晴で、星も美しく輝いていて、どうやら昨日のようにはならずに済みそうだった。 適当な所でエマージェンシーシートを広げ、湯を湧かす。 ホットレモン・ココアなどの飲み物を作り、全員に回し、暖をとってもらう。 冬の観望会には暖かい飲み物が一番ありがたい。 多くの人が昨晩の経験を生かして、厚着をしてきたようだから、寒さ対策も問題ないと思われる。 私は、撮影を邪魔されたくないので、皆が集まっている場所から離れ、一人でGPガイドパックを片手にベストポイントまで歩いた。GPガイドパックは標準で三脚が付属している。しかし、この標準三脚というのが剛性と操作性に欠ける代物で、なかなか手に負えない。 そこで、同じビクセンから発売されているAL-90三脚を装着して剛性を高めた。また、GPガイドパックは電池で駆動するのだが、-10度近くになるこの場所では電池の消耗が予想以上に早くなる。 そこで、本来はカメラのレンズに装着して、夜露が着かないように暖める懐炉をGPガイドパックのバッテリーケースに取り付け、暖めるようにした。これで電池の寿命が大分違って来るはずである。 このような工夫をし、数枚の写真を撮影した。 4時間近く経過したところで、寒さに耐えきれなくなった人が帰り始めた。それを合図とするかのように、皆帰り始めたので、2:30頃に本日の観望を終了した。 ★反省点 今回の合宿で反省すべき点は二つある。 一つは下準備の悪さである。 天文研は2003年の1月より、新役員体制へと移行した。 すなわち3年から2年へと代替わりし、私も観測部長の任を解かれた。 この春合宿は、新体制へと移行した最初の合宿であるがゆえに、私はその成りゆきを見守っていた。 合宿前の最後のミーティングが終わった後のことである。通常、合宿前に持ってゆく機材を総点検し、消耗品の有無やパッキングなどをしなければならないはずである。これは、観測部長の仕事であるが、新観測部長はこの仕事を忘れ、会合が終わるや否や帰宅してしまった。 このまま、何の準備もせずに合宿当日を迎えたのならば、双眼鏡すらも持たずに観測地へ向かうこととなるのは明白だった。観測部長が準備をする気配もないので私が勝手に準備をしておいたのだが、機材の選定や消耗品購入などは観測部長の大きな仕事である。以後、このようなことがないよう祈りたい。 二つ目は、防寒対策の不十分さである。観測地は標高1,000m、夜の気温は-10度近くという厳しい環境である。このような環境の観測地に、普段通学に用いるような防寒装備をしていたのでは瞬く間に体は冷えてしまうだろう。今回、防寒に対する認識が甘く、上にあげたようないでたちの人間を数名みかけた。少なくとも、セーターなどの重ね着や保温性下着などを活用し、少しでも体温を外に逃がさない工夫をするべきであろう。 また、体温はつま先から逃げてゆくため、特につま先の保温が重要である。特に天体観測と言うのは、一ケ所で長い間動かないことが多いため、ことのほか保温と言うのは重要な要素である。ちなみに、つま先の保温には小型の使い捨て懐炉などが有効な手段であり、以後の合宿では全員が装備していることを望む。 以上二つが、春合宿の反省点である。この経験を生かして、次の合宿に臨みたい 文責ヒャクタケ |
