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おすぎはらこ

ストーリー構成・文章・イラスト:杉山 紫/ファイタ−・レンジャー
話題提供・共演:原 綾妃子/シャーマン・(ハイ)プリースト


使用上の注意: ここに掲載されているイラストの無断使用は…まぁ、物好きな人はご自由に
(なお、一部イラストは杉山紫オリジナルコレクションより抜粋)

 レポートを作成しろ、とのお説教をくらったので従うことにした。そのぶん批判は受け取るが受け容れないので注意されたし(特に原氏)。ちなみに、普段の杉山の文体とは違い、58度ほど傾いているので勘違いしないでたもぅッ!

*合宿概要*
★目的:会員同士の親睦を深める
    星空を楽しむ
★目標:大人としての自覚を持って行動し、且つ充実した日々を過ごす
    喧嘩はお断り
★期間:8月7日〜10日〈三泊四日〉
★宿泊先:福島県裏磐梯「サード」


?ここまではほぼ事前に配布されたレジュメ通りである。

先ずは順を追って合宿の全貌(個人的観測による)を語ることにしよう。


*第一日目*



ジャラリン♪モンスターに遭遇した!ジャイアントパンダは予想していたよりも大きかった。
あのガラスの封印が解けたとき、一体上野駅周辺はどうなってしまうのか…!
そこで何故か例の二人組によって魔封じの略称が与えられた。



その名も
「ジャイパン」



これで上野駅も「でかぱん」のおじさんも安泰だ!更に弱い者いぢめのあの少年も…!万歳!

ジャイパン


 旅に出て受けたカルチャーショックは果てしない。
最初に語っておかねばならないのは「ヨークベニマル」「ブラックセブン」だろう。

これらのアイテムショップは店内こそ何の変哲も無いが、その看板はカントウ地方に棲む者達に違和感を引き起こさせる。まるで自分のいる世界に似たパラレルワールドへ迷い込んだかのようだ。

詳細を説明すると右図の通り。
一見して、「イトーヨーカドー」なのによ〜く文字を読むと「ヨークベニマル」

WHY!?

そしてバスの乗車中に見た「黒いセブンイレブン」…景観を損ねないために…って、十分損ねていると思う。

「無彩色だからって甘えるなァ〜!」ばちこ〜ん!
(オノマトペ/ハラコの鉄拳による。魔法を使え!)


他にも印象的だったのが、トンボの群れ。

平気で指先に止まってくる彼らには全く警戒心が無く、いつも低空飛行だ。おスギが両手にトンボを止めていると、ハラコはそれを見て苦笑いした。
何この人。何が楽しいのよ」
とでも言わんばかりだ。
パーティの亀裂…嗚呼、一体誰がこの物語の結末を想像しえたであろうか。
ヨークベニマル



とんぼ


そういえば、蛙や蛇などの爬虫類、そしてハラコの愛する猫が宿周辺には多かった。

更に彼女の持つ携帯端末に仕込まれた猫の鳴き声を何度も聞かされ、おスギは故郷に残してきた猫二匹に想いを馳せた。

「あいつら私のこと絶対忘れているに違いない…」案の定、帰宅したら感動の再会、だなんてありえなかった
(おっと、「ありえない」は禁句だった)。


逃げる猫。貰ったり拾ったりしてあげたことへの恩は微塵も無いらしい。
もう冬に布団へ入れてやるものか、とおスギは心に固く誓ったのだった。ぷんぷん。


夜になるにつれて虫の数が急増。そこで戦士は剣を収めつつこう言うのだ。



「またつまらないものを斬ってしまった…」



 しかし虫の存在を人間の利害で測るのはいかがなものか。うわぁ、哲学だ!




 さて、ようやくここまできて天体観測の話題に移ろう。

でなければ管理者に改善を要求される恐れが出てくるからだ。しかしレポート作成者の画力ではとても星空を描くことが出来そうもないので、ここでは主に文章に賭けよう(文章力もあるとは言えないんだけど)。

どこかから画像をパチッてこようかとも思ったが、それはやはり間違っていると考えが至った。自分で撮ってこそ、だよね。そのうちちゃんとカメラも使いこなせるようになろうっと。



だけど星空って写真よりも遥かに心の中で鮮明に焼き付いていると思う。なるべくそれが想起されるように努めたい。

この先はちょっとした別物語の挿入です。誇張して書かれていたりするので、実際とは異なった箇所も多いです。
しかも結構病的な話…でも、読み飛ばさないでね。






第一日目から曇天と根気との勝負だった。




雲の切れ目を探し、移り行くのを待っては望遠鏡を覗く。



しかし何処からともなく湧き上がる気流は決して止めることが出来ない。



ぼくは夜空を見上げるたびに倦怠感をつのらせていった。



しばらく時が経つと夏の大三角形、続く白鳥座は肉眼でも確認できるくらいになった。



レンズ越しに見えたアルビレオの頭は美しく、青と橙の対比は宇宙の理法を克明に表しているかのようだった。(この辺が病的)
 



だけどぼくが真に見たいものは土星だった。



あのリングが、どうしてももう一度だけ見たかった……




また雲が濃くなった。




ぼくが土星の方へファインダーを向けると必ず視界を覆ってしまう。




諦めて赤道儀のクラッチを弛めると、靄は薄れ、レンズを覗けばぼくを嘲笑するように何も見せてはくれない。




思えばあの時もそうだった。



どんなに近くにいても、他人の心を覗くことなんて出来はしない。




あの人へ渡せなかったリングは今も机の引き出しに眠ったままだ。
(←さらに病的)





ぼくは、いつか土星のリングを見ることができるだろうか―…

ひと






少し落ち着いたところで、続きいってみよ☆






*第二日目*

 二日目といえば、
鬼の望遠鏡講座。


これに尽きる。


朝食後からの
7時間半に及ぶ特訓は、学習会を通り越して酷だった。

あの暑い中、さぞかしおにぎりに含有された菌の増殖も活発化したことだろう。しかしこのレベル上げが功を奏し、参加者は望遠鏡組み立ての技とファインダー調節の術を得たのは言うまでもない。あと、双眼鏡の正しい使い方とアイピースの知識も。

ここで忘れてはいけないのが、望遠鏡講座の休憩時間中におスギがとある天キチの惑わしによってハラコの寝っぷりを激写してしまったことだ。京極夏彦・著の分厚い魔術書を手に眠るハラコ… そしてカメラ片手に忍び寄るおスギ… このとき、おスギは自らの人生が走馬灯のように駆け巡るさまを思い描いていたという…


 …ウソだけどね。
たるい

寝ている

バーベキューのとき。おスギが湖の方をぼ〜っと眺めていると。ハラコが近寄ってきて。耳元で囁いた。


「おや、何か憑いているみたいだねぇ?」


呪い


魂を抜いたことがバレると、ハラコの迫力は
ますます強くなった。


そして相当根に持つタイプだと自ら宣言。


「うん、それくらい知ってた」おスギは開き直らずにはいられないのだった(呪いが怖いから)。


見えない溝は深まるばかりだ。


二日目の観測会は、それなりにそれなりでした。


一日目よりも雲が少なかったし、プレアデスやアンドロメダ銀河がよく見られたから。




東京なんかでは建物に隠されて見えなくなるフォーマルハウトも燦然としていました。
流星も沢山降りましたね。



双眼鏡で仰ぎ見たアンドロメダ銀河は、銀の粒子を重力で繋ぎとめたような、そんな印象を受けました。230万年も過去の光を今こうして眺めていると思うと、ちょっとノスタルジックな気分に似た、何とも言えない懐かしさがこみ上げてきます。






 …少しだけ自分としての感想を述べてみました。

それと、第一日目からずっと星座について教えてくれたこれさん、原さんの分も含めてどうもありがとう。素人同然の二人に一から教えるのは大変だったと思います。


おかげで星空を満喫することができました。そしてボート漕ぎご苦労様です。


さて、二人組もだんだんヒートアップしてきて、地べたに座り込んで双眼鏡を交互に眺めていたりした。


と、そこへ…!ばば〜ん!
クイン・テッサ・星人の来襲だ!




「君たちはここで何をしているんだ!?」






(・д・)ポカーン





不意を衝かれた二人は……別に何の反応もなかった。
ハラコの網膜の裏の裏の裏あたりで見ていた映像を使って検証してみよう。
(四コマ描くの7年ぶりぐらいだ…)
悲惨な世界

…とこのように、何が何でもおスギの味方である謎の貴公子・スギヤマン?。世が危機を救ってくれたのである。めでたし、めでたし。

 *例の住民の方、重ね重ね申し訳ありませんでした。


しかしながら、この時点で


「大人としての自覚を持って行動し、且つ充実した日々を過ごす」


という目標の半分は達成されなかったことになる。



大人としての自覚…18歳はまだ成人じゃないという言い訳は通じないようだ。

おっと、ハラコはもう19歳だったっけ。



ともかく、教訓として



人家の真ん前で天体観測はしないこと。


周りに人がいる場合は静かにしていること。


以上。




いよいよ大詰め!いってみよ☆


*第三日目*

この日は朝から二人のそりが合わなかった。

というのも、ハラコが例によって例のごとく、かの魔術書を抱いてずっと眠っていたからだ。
おスギとしては「せっかくお金払って来てるんだから、何か格別なことしたい」という心境だった。

だけど一向にハラコが目覚める様子はない。

ついにおスギは立ち上がった。
そして、あろうことか新しい仲間達と共に湖へ出航してしまったのである。

繰り広げられる敵との死闘…

ライバル船との争い… 

そして手に入れた財宝は、

「とっても冷たいアクエリアスの雫」と呼ばれる聖水だった。っか〜!(どこのおやじだ…)

?¢???????”

?¢???????”

 宿へ戻ったおスギは、ハラコを見て愕然とした。


「まだ寝ている…!」時計を見れば、二時はとっくに過ぎている。


もう、駄目だ、この人。

でもこの収穫物に関してどんなに興味深く話をしたとしても、ポカリ派の彼女は聞く耳を持たないだろう。



 次におスギは賭博場へと足を運び、ギャンブルにのめり込んだ。


ボードゲームの基本・将棋で兄に王だけで負けた記録を持つおスギだったが、カードゲームにかけてはちょっと自信があった。


だけど終盤で大貧民に成り下がり、手元にあったカードは「3・3・3・4・5・6・8」の7枚だった。


これでどうやって勝利しろと!?おスギはふてくされた。



ハラコに事情を告げると、彼女は鼻で笑ってこう言った。
「要領悪いね」。グッときた。




 そうこうしているうちに喉が渇いたので自販機を覗いてみた…ら。



完売です。





素直な気持ちで凄いと二人は思った。

滅多に見られるものではない。壮観。


―これは余談だが、おスギは自販機を見るたびに必ず思うことがある。「つめた〜い」と「あたたか〜い」の間に「なまぬる〜い」の枠が何故存在しないのか。あったっていいじゃないか。ファジーな気持ちを味わったっていいじゃないか!(爆)


気が付くと既に日は沈み、辺りは闇が支配していた。
こうなってくるとやらなきゃいけないことはただ一つ!そう、花火だ!





―だが!二人の意識は全く別のところへトリップしていたのであった。それは何かというと……

花火の後始末用に設置された3つの紙コップのどれが最初に倒れるか。

図を参照してもらえれば明らかなように、Aが最も人から離れた場所にあり、倒れる確立も最も低い。

ただし配当は高い、というわけだ。さあ、君ならどのコップに賭ける?
コップ

―つっても実際は全部生き残ってたんだよね。つまんないの。


そういえば、二日目の夜にも何処かで花火を打ち上げていたっけ。あれは一体なんだったのかな?まぁ、いっか

ついにきました、三日目の天体観測!ビバ!二人は颯爽と防寒着を手にし、バスに乗り込み、そして眠り果てた。



浄土平に到着した頃、ハラコはすっかり
夢の中だった。



おスギはバスにとても弱いので、実は結構きつかった。



バスを降りるとハラコは貼るカイロを取り出し、腹に貼るようおスギに強要した。

貼った途端にお腹が鳴り出したので、何かのマジック・アイテムだったに違いない。





ここで上級冒険者達に従うままに望遠鏡を組み立てて、いざ観測を始めようとしていたところ(バランスウェイトの部品が無くなったのと
アイピースを鏡筒の中に落としたアクシデントは省きます)、

天文台勤務の豊崎直紀さん(推定・41歳)が親切にも声をかけてくれた。あのくらいの歳のおじさんは若者にすぐ迎合するみたいだ。そしてやたら構ってもらいたがるらしい。案内された場所には備え付けの大きな望遠鏡があって、設備も整っているようだった。


豊崎氏は得意げに望遠鏡を回転させて星を見せてくれた。

その間に流れていた松居慶子さんのJAZZ「DEEP BLUE」に二人はもうフォール・イン・ラヴ!ピアノでJAZZほどムズいものはないです、絶対。

かなりテンションが上がってきたところで再び自分たちの観測場所に戻ると、ちょうど土星がよく見えるということなのでおスギはレンズを覗いてみた。
「おぉ〜よく見えるぅ〜!」―続いてハラコが覗くと、「何も見えないんですけど…」

ナイスタイミングで雲が出てきたのだ。あらら、土星に嫌われてしまったのね。
DQN

しばらくして、もう一つの望遠鏡でも土星をキャッチしたらしい。
ハラコは今度こそは、と気合を入れて立ち上がった。
「あれ、雲で隠れちゃった」上級冒険者も天を左右させることはできないのであった。
ハラコは激しく舌打ちした。

さらに時間が過ぎ、また土星あたりの雲が薄くなり始めた。今なら見える!ハラコは走った。
走って走って走りまくった。
―覗く寸前。突如、まばゆい光が視界を照らしたのである。

車のライトだ!ハラコは
ブチ切れた。

「何で私に土星のリングを見させてくれな
いのよ!?何でおスギだけなの!?」
 それは、ハラコがイタコへ変化した瞬間であった(右図参照)。
エ…エクトプラズム…!?一体ハラコに何が乗り移ったというのか…!

*この先は、ノンストップでご覧下さい。
ゴバァ

メタモル


邪悪な気を帯びるハラコ(こわい…)と戸惑うおスギ、そして吹き飛ばされるエキストラ…果たして結末は!?ついにレポートクライマックス!!!ここまで一語一句読み飛ばさないでくれた人だけに送る、大スペクタクル!んでわ、どうぞ。

漫画 漫画

なんてありがちな展開だろう、とおスギは思った。だけど、胸が苦しいのは何故…?
幽霊君はそのまま涙とともに虚空へと消えていった?… 「これで、良かったんだよね?」
おスギは気を取り戻したハラコに尋ねたが、彼女は何も答えはしなかった。
エピローグ

浄土平から見える土星には、19個の衛星があるという。…ウソだけどね。



*エピローグ*

 さあ、一つの冒険は終わった。後に二人はとても良心的な宿屋のおやじさんにこんな話を聞いた。

何でも、数年前に天体観測をしにこの地へ訪れた一人の青年が、沼で足を取られて帰らぬ人になってしまったというのだ。



その青年は、とても土星に執着があったらしい。
 二人は宿屋の花壇に植えてあったラヴェンダーを(勝手に)引き抜くと、人知れず沼の隅へ手向けてあげたのだった。


FIN.





 わ〜い!やっと完成(泣)!本当は容量に制限がなかったら、おスギと幽霊君が刺し違えておスギだけハラコにもらったカイロで助かるシーンを入れたかった…うん。
 ていうか、これ天文研のレポートぢゃないだろう… そして、いろんな意味で作成したこと後悔… あ、ちなみにおスギとハラコは美化1675%ってとこです。ここまでやりきると逆に清々しい。他人からのツッコミはもちろん不可。
 …にしても。「ピーコ」に合わせて「ハラコ」にしたのはかなり無理があったように思う。そして余談だが、笑っていたももかちゃんが原さんを見た途端に無表情になってしまったのには容易に頷くことができる。

 …本気で天文研のレポート?…さあ、ね。  2002.8.15.THU 杉山紫・著


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