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| 前代未聞の合宿だった。 時は春合宿にまで遡る。春合宿は言うまでもなく1年間の天文研の活動予定を決める大事な会議が行われる。 この会議の席上で前会長が「どうせなら夏合宿は一週間ぐらいにしよう」 と発言。物議をかもし出した。その後全会一致で夏合宿一週間案が可決され、来るべく2003年の夏合宿は例年にない4泊5日の長期に渡るものとなった。 一週間にした理由は単純。 日 数 が 多 い 方 が 晴 れ る 確 率 が 高 い か ら である。 例年の合宿は大抵快晴の日々が続いていたので、たとえ雨が降っても日数が長い分晴れる日数も多いはずだという希望的観測を胸に合宿に臨んだのだ。 しかし 2003年は10年振りの冷夏 おまけに 週刊天気予報は雨雨雨雨雨 !? 神は我々を見放したか? というわけで、夏合宿は全日程雨でした。
ん? いきなりはかわいそうだろって? ・・・・・・ まあ、全日程が雨だったわけだが、一晩だけ星が見えたときもあったしなぁ。 その時の事でも書くか。 というわけで
その日は8月27日。折しも火星が大接近すると言われている日だった。 もちろん雨なわけだが。 しかし、早朝のテレビでは火星大接近のことを実に華々しく取り上げているではないか。 しかも、この日は夏合宿恒例となった浄土平行脚を予定していた。 火星+浄土平というわけで、会員の星を見たいボルテージはいやがおうにも高まった。 ただ、星を見たいという気分が高まっても、天候は思ったように回復せずに、一同は歯がゆい思いをしていたわけだ。 一方、観測部長のあちゃこは浄土平はトリビアが見たいから行くべきではないと強硬に主張 でもって、天文フアンのヒャクタケは浄土平に断固行くべきと主張。双方の主張の溝は埋まらなかった。 ていうか、溝ってあったのかな? まあ、結局全員に決を取ることになって、浄土平行きは文句無しで決定したんだけど、問題は天気だった。 その天気も、午後になると奇跡的に晴れてきて、夕方には一面の青空が広がった。この分だと浄土平も晴れていそうな予感がし、全員の志気は一気に高まった。 無論、晴れ間が広がったので午後からは各々外出し、観光を楽しんだのも付け加えておく。 人気スポットは五色沼で、数名が散策して景勝を楽しんだようである。 後はペンションに残ったり、ドライブしたり・・・と過ごした。
で、夕方。 食事を終えた一行は速やかにバスに乗車、一路浄土平を目指した。朝の時点でメンバーの三分の一が帰ってしまったのが悔やまれるわけだが、帰ってしまったものはしょうがない。 それよりも、火星が最接近する日だけあって、大勢のアマチュア天文家が集まっていることが予想され、従って昨年のような乱痴気騒ぎを起こさないかどうか不安だった。そのため、行きの車中ではしっかりと観測地でのマナーを周知しておいた。 途中、物凄い霧に包まれながらも浄土平に辿り着くと、辺り一面満天の星空に包まれていた。空の透明度も申し分なく、天の川がくっきりと見えたのが実に印象深かった。これ程の星空は他ではちょっと見れない。長野の川上村・新潟の神林村と肩を並べる程の美しい天の川だった。 そして、火星が最接近するとの報道で、浄土平は深夜にもかかわらず、大量の一般客が溢れ帰っていた。実はこれが予想外で、アマチュア天文家の人が沢山来ているかと思ってはいたのだが、実際にはそういう人は二、三人程度で非常に数が少なく、報道を受けて、浄土平併設の天文台で火星を一目見ようと押し掛けた一般客で非常に賑わっていた。 一般客が多い所でマナー云々を言ってもしょうがない。天体観測をしている人ばかりだったら、赤ライトを使ったり大声を立てたりはしないのだが、一般客はそんなことお構い無し。 懐中電灯で夜空を照らすは、フラッシュをたいて星を撮ろうとするわで、アマチュア天文家には耐えられない環境だ。とはいえ、ここは天下の公道なわけで、文句も言えない。こういう時はひたすら一般客が帰ってくれるのを祈るだけである。 浄土平には天文台が併設してあり、誰でも望遠鏡をのぞくことができる。この天文台が大盛況で、一般客で長蛇の列ができていた。なんと、カップラーメンを売る臨時の売店までできている始末。いやはや、火星接近という天文イベントの効果をまざまざと思い知った。ちなみにカップラーメンは、平地より100円高い250円。場所も高けりゃ値段も高かった。 早速望遠鏡をセッティングして星を見ようとするが、一般客が多くて、天体観測をするには実に劣悪な環境だった。というのも、駐車場にひっきりなしに自動車が出入りするうえに、近くでは売店の明かりが煌々と輝き、挙げ句の果てには隣でランタンをつけてにわかアウトドアを気取る人もいる始末。 こんな状態で、まともに望遠鏡のセッティングができるわけもなく、結局セッティングに通常の3倍の時間を費やしてしまった。何しろ極軸望遠鏡をのぞこうとする度に自動車のヘッドライトが直接視界に飛び込んでくるのである。 また、望遠鏡をセットしていると、必ずと言ってよいほど一般客が望遠鏡をのぞきに来る。一人二人ならまだしも、次々と来るのでいささか閉口気味であった。 そんな中で、偶然地元テレビ局の局員に所属を訪ねられた。法政大学の天文部と答えると、非常に興奮したので、訳を尋ねるとOBだった。ひょんなとこからOBと福島の山奥で出会うとは、さすが戦前からある伝統校。ちょっとだけ法政大学つてのは凄いなぁと思った。 そして12時頃になると、辺り一面は濃い霧に包まれた。 有り難いことに、この霧のおかげで、一般客がぞくぞくと下山してゆく。我々は午前4時までいるので、霧など全く問題にならない。折角の霧なので、持参したレーザーポインターなどで遊んでみた。 午前1時。霧は完全に晴れた。気流も安定し、火星も実にハッキリと見える。光軸をばっちり合わせた天文研のG-R200SSに、エクステンダーを装着して焦点距離を1500mmに。これにノーブランドのPL6.3mmで火星を見る。 倍率は実に238倍。もともとF値が4で惑星観察には向かないとされているR200SSの限界に近い倍率である。200倍超の倍率だと、火星のマリネリス峡谷や極冠などが確認でき、非常に楽しめた。 1999年の火星接近の時は、高校のグラウンドで月に邪魔されながら8cmのセミアポで見たものだが、 あのときはただ赤いだけで何も見えなかったのを思い出す。それに比べれば、2003年の大接近の火星と言うのは、実に模様などがはっきりしていて、天体観測の初心者でも十分楽しめるものであると思う。 また、火星だけでは飽きてしまうので、M31やM45などのメジャーな天体も見て見た。ただ、ファインダーだけで導入してしまったので、次回の観測は目盛り環を使用して天体を導入してみたい。理想は自動導入なのだが、自動導入は高くて手が出ないからな〜 そんなこんなで、過ごしているうちに、3時ごろから徐々に雲が出てきた。そして3時半頃には完全に空が雲で覆われてしまったので、潔く撤収を始めた。そして、4時ちょうどに浄土平を離れ、一路帰路に付いた。 2003年の夏合宿では結局浄土平でのみ星を見ることができたが、それでも何も見えないよりはましだった気がする。次回はぜひ目盛り環を使用して天体を導入してみたい。 文責 ヒャクタケ |
