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アイコン夏のペルセ群観望会2アイコン

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暑い夏の風物詩、ペルセウス座流星群の季節が今年もやってきた。


今回のペルセ群は月が明け方に出現するというなかなか良い観測条件なので、天文雑誌等はもとよりマスコミ等でも報道されたそうだ。 月が明け方に出現するということは、ほぼ一晩中流星を見ることができるだけではなく、様々な夏から秋の星雲星団を見ることができるということである。


こんな好条件を目の前にして星を見に行くなというほうが無理な話だ。


というわけで、8月の11日・12日・13日の3日にわたってペルセ群観望会を行った。



今回のペルセ群は天文雑誌によると、12日の未明と夕暮れ時の2回極大があるようなことが書かれていたので、万全を期して11日の夜からスタンバイしているわけだ。

場所は新潟県朝日村にある天蓋山


新潟市から90km程離れているここは、観測地紹介でも書かれているように、標高は430mとそんなに高くはないが、山の八合目付近から南側にテラス状に突き出している駐車場があり、南側の眺望が抜群である。周囲の山もそれほど高くはないので、50km先の平野まで見渡せると言う広い視界で、天文観測にはうってつけの好場だ。


8月11日夕方、車で現地に到着。

空は嬉しいほどの快晴だ。
今回の参加者は4名で少なめだが、天文研のジンクスなのかどうかは分からないが、観望会などの参加人数が多いと天候が悪くなるという法則があり、これぐらいの少人数ぐらいが晴れる確率が高いものである。  


まあ、もっとも何の根拠もない経験則的なものであるが、参加人数が多いと雨が降るというのは、どうも何かあるのではないかと勘ぐってしまいたくなる。 それはともかく、現地についたのは日没後30分ほどしてからで、既にあたりは薄明が進んで結構暗くなっていた。

南天の10°ぐらいのところに多少雲があったものの、全天にわたって雲はほとんどなく、絶好の観測日和だ。早速テントを設営して食事を採って薄明が終わるのを待つ。

注目のペルセ群は翌日の未明から極大に向かうので、それまでは夏の星雲星団を見たり、ぼーっと夜空を眺めてせっかちな流星が流れないかどうか見ていたりと、各自自由に過ごしていた。

参加者のうち、私は新しく買ったVixenのGP-D赤道儀を初めて現場に投入した。以前は同社のGP赤道儀に笠井SCHWARZ150を無理矢理搭載して使っていたのだが、搭載可能重量7kgの赤道儀に、ファインダーやアイピースを含めると12kgにもなる望遠鏡を載せるという、文字通り過積載の状態では少しの風でも視野がぐらついて、惑星を見るとき等は非常にストレスがたまってしまう。
それを改善すべくGP-Dにした。

GP-Dとは前述のGP赤道儀の高機能版で、搭載重量が10kgにまでUPしているだけではなく、極軸望遠鏡などに様々な工夫がこらしてある、ベストセラー赤道儀である。


もうひとり赤道儀を持ち込んだのは社長で、おなじみのVixen SX赤道儀である。今回はこれに同じVixenのG-R200SSを載せる。SXは極軸望遠鏡の照明が明るすぎるという不具合がネット上などで多数報告されており、社長は極軸を合わせるのに四苦八苦していたようだ。

また、G-R200SSは鏡筒のバランスが悪く、赤道儀に搭載するときのバランス取りには何度もトライ&エラーを繰り返していたようだ。 他の2人は持参した双眼鏡で天の川などを流して楽しんでいたようだ。

持参した双眼鏡はVixenのパノラマ7000見かけ視界92°の超広視界の双眼鏡なので、天の川巡りはさぞかし豪華なものであったに違いない。すでに0時前でも結構な数の流星が流れている。獅子群と違ってゆっくりと明るく流れる流星が多かった。流星が流れるたびに歓声があがっていた。

0時頃になると遠く離れた街の明かりも少なくなり、あたりは満天の星と夜空にうっすらと照らし出された周囲の山並みのシルエットが見える。社長は極軸セッティングはうまくいったようだが、鏡筒バランスが上手く取れずに苦労していたようだ。相変わらず赤道儀をいじくっている。



それを尻目に私は星雲星団の観望をやっていた。今回は惑星が見えないということで、夏から秋の星雲星団を次々と巡ることにしており、そのために2つの特別アイテムを使用した。

1つは国際光器が販売している超広視界アイピース、ワイドスキャンTYPEIII 30mm
84°の見かけ視界と2万円という低価格で多くの天文フアンの心をわしづかみにし、米国の天文雑誌をして広角アイピースの代名詞とも言えるナグラーを超えると言わしめ、多くの天文フアンの間で語り草となっているアイピースだ。

もうひとつは、社長から借りたレーザファインダー
彼は自動導入を使うために不要となるので借りたのだが、こいつは望遠鏡に取り付けてスイッチを入れると、緑色の一条の光が天に向かって照射される。この光を目的の天体があろう場所に向けると、望遠鏡の視野に天体が入るという塩梅だ。

従来のファインダー等と違い、覗き込むということをせずに、望遠鏡から延びる光の線を星空の任意の場所へ移動させるだけで導入が完了するので、非常に自然で楽に導入できる。ただ、レーザー光は結構離れていても視認できるので、周りに他の観測者がいるような場合は使用すべきではないだろう。


早速、へびつかい座周辺の天体を見る。M12とM10だ。
M10
M10
M12
M12

この2つの天体は場所が似通っているうえに、両方とも球状星団なので、判別がしにくかった。視野に入っている天体がM10かM12なのかよくわからないのだ。そこで社長に頼み、SXの自動導入でM10を入れてもらった。SXに載った望遠鏡でM10を見て、自分の望遠鏡でM10を見て童貞がはじめてできた


その後、さそり座のM4、M80とお決まりの天体を見て、導入するのがちょっと難しいM5にチャレンジ
M4
M4
M80
M80
M5
M5

M5はてんびん座とへび座の間にあって、周囲に明るい星がないので導入するのは結構手こずるのだが、星図を見つつ、レーザーファインダーでおおむねこの辺りだろうと見当を付けた部分を指示し、光学ファインダーを覗くと、視野の隅の方にM5を発見。

光学ファインダーだけではなかなか見つけることが難しい天体だが、レーザーファインダーやサイトファインダーを使えば、比較的イージーに導入ができる。


次に、いて座の各種星雲星団を見た。天体写真などではおなじみのM8とM20はちょっと天体観測をやっている人なら誰でも知っている天体だ。これを一発で導入。光学ファインダーの視野に2つの天体がいっぺんに見えた。
M8
M8
M20
M20

それから望遠鏡を上に移動させてM21、M17、M16を導入。
時間は1時半をまわるところだったので、そろそろ写真撮影の準備をしなければと思い、星雲星団めぐりは終了。最後に締めとしてM13・M27・M57などのメジャーな天体を見て観望は終わった。
M21
M21
M17
M17
M16
M16
M13
M13
M27
M27
M57
M57

時刻は午前2時、ペルセ群の出現がそろそろ気になりだす頃なので、写真の撮影に取りかかった
既に結構な数の流星が頭上を流れている。どれも明るくてゆっくりと流れている。

時折1等級の流星も流れ、なかなか盛況のようだ。今回の流星写真はVixenのGPガイドパックを使い、ガイド撮影を行った。ガイド撮影の方が星が点像に写るために、一条の光となる流星が写ったときに美しくなる。だから私はガイド撮影。これだけは譲れない。フィルムはコダックのエクタクロームP1600を使う。2段増感で感度1600になるこのフイルムを1段増感で800相当にして使う。


で、撮影開始
大体撮影時間は5分程度で、タイマーをセットしてアラームが鳴るたびにレリーズを押すだけの単純作業だ。5分ごとにアラームが鳴り、そのたびにレリーズを押し続け、淡々と時間が経過する。頭上には満天の星空と時々流れる流星、虫のささやき以外何も聞こえない


と、そのときハイビームを煌々とつけた一台の四輪駆動車が側の道路を通り過ぎた。撮影場所は道路に面した駐車場なので、こんなことは日常茶飯事、よくあることさと思って車が通り過ぎるのを見ていた。道路を車が通過したぐらいでは写真に大した影響はないからである。車が通り過ぎてほっとした瞬間、道路の向こうで四輪駆動車が突然反転。ハイビームを煌々とつけたまま、カメラの正面100m程先で停車した。



私は「まあ、天下の公道なんだから仕方がないよなぁ。早くライトを消してほしいなぁ」と思っていた。が、走行中にためらいもなく突然Uターンするという挙動を見せた連中である。なんと、ライトを点灯しっぱなしで車から降りてくるではないか!しかもハイビームで



「うわっ、すげーほし!」
「なにこれぇ〜ちょーすごいんだけど!」




などと車両から降りた連中は、少々脳がスポンジになっていらっしゃる若者特有の嬌声を響かせていた。


どーでもいいからライト消せよと思った。

そんな私の切なる思いとは裏腹に、彼らは5分以上もこちらに向けてライトを付けたまま、少ない語彙を駆使して何とか星空の素晴らしさを表現していた。このとき、私の脳裏にはひとつのフレーズが浮かんだ。



死んだ方がいいよ



あな恐ろしや天文マニアのこの思考。
静かに天体写真を撮影している最中に、突然騒々しい若者が押し寄せて撮影をオシャカにした後立ち去るという体験をした天文フアンの多くは「死んだ方がいいよ」と思うはずである。場所が私有地ならまだしも、天下の駐車場であるだけに文句も言えないのがまた悲しいところである。そのまま小一時間ほどだろうか、無軌道な若者はようやく退散した。

薄明まであと一時間ほどとなっていた


泣く泣く撮影を開始したが、東の空がしだいに明るくなっていき、結局予定よりかなり少ない枚数しか写真を撮ることはできなかった。まったくもって遺憾の極みである。じつに遺憾。 我々は泣く泣く撤収して、そのまま泥のように眠り込んでしまった。






さて、12日夕方。
再び天蓋山にやってきた我々は、辺り一面の雲海を目の当たりにする。そう、雲雲雲

雲のオンパレードで、全く星が見えないのだ。

とりあえず望遠鏡を設置してみたものの、全く晴れる気配がないので、遠く離れたところでやっている花火を見たりして遊んでいた。下から上に向かって打ち上げ(?)られる花火は奇妙な感じがした。余談だが、花火は球状になっているため、どの方向から見ても円になって見える。それをどう勘違いしたのか、花火は平べったい円盤状になっていると思い込んでいる大学生もいるらしい。まったく嘆かわしいことだ。


花火が終わり、空は曇り、あたりは暗い。
従ってこの状況から天文フアンがとるべき行動はただひとつ。寝ることである。

だから寝た。



テントに入っておやすみなさいである。


数時間後------ふ、と目を覚ましてテントを這い出てみると、なんと雲がほとんどないではないか!
これは大変だ。急いで望遠鏡にしていた蓋を外してファインダーの電源をON。赤道儀のクランプを緩めて導入体制に入る。

既に夏の星座は西の彼方にその一部を覗かせるだけになっており、ペガスス座、こうま座、みずがめ座、やぎ座など秋の星座が空を占めていた。派手さのない秋の星座たちだが、見所のある星雲星団が多くある。


まずはペガスス座からやぎ座、みずがめ座のあたりを探索
はじめは定番のM15を見る。M15は比較的大きい天体で発見がしやすいから、しょっぱな見るには適している天体だ。次にM2。これは発見が少々難しい。ペガスス座からみずがめ座の星をたどると見つけやすいのだが、ここにあるだろうという見当をつけてサイトファインダーを向けてもなかなか視野には入ってこない。
M15
M15
M2
M2

光学ファインダーを左右に振ってようやく発見できた。
その次はやぎ座にあるM73、M72を見ることにしたが、これもまたM2以上に見つけるのが難しい。
大変難儀をする天体である。20分ほど付近を捜索してようやく見つけた。

M72
M72
M73
M73

一通りペガスス座方面を見たところで、望遠鏡を大きく動かしてカシオペアからアンドロメダ方面の星雲星団を見る。カシオペアのM52は星座のWの一辺を2倍延長した位置にあることから、見つけやすい天体だ。これをまず始めに見た後、定番のM31・M32・M110を見る。
通常のアイピースならばこの3つの天体が一つの視野に収まるということはないのだが、実視界実に2°以上を誇るワイドスキャンでM31を中心にしてみると、視野いっぱいにこの3つの天体が姿を現す
M52
M52
M31
M31
M110
M110
M32
M32

実に贅沢な眺めだ。
次に見たM76とM34はそれぞれ規模は小さいが見逃すのは少々惜しい天体で、時間があればじっくり観察してもいいだろうが生憎、M33とM74が近くにあるため、さらっと流されてしまう天体ではある。というわけでM33をお次ぎに見るわけだが、こいつはM31と違って非常に淡くて暗い対象であるため、相当暗い空でないと見ることが難しいが、この天蓋山の空では容易に対象を確認することができた。

M76
M76
M34
M34
M33
M33

かなり大きい天体であるから、視野いっぱいに広がっている姿は実にダイナミックである。


そして最後にうお座にある系外銀河、M74を見ようとしたのだが、これが一体どこにあるのかさっぱりわからない。無論おひつじ座から星の並びをたどって、サイトファインダーの照準を合わせ、光学ファインダーを覗いてみたのだが、本来あるべき場所に星雲らしきものが全く見当たらなく、40分近くも何度も望遠鏡を左右に振ったりして確認作業を続けた。
M74
M74


結局、この天体を見つけることはできたのだが、予想以上に小さいその姿に驚いた。
まるでヤスデのような形をした銀河である。



そうこうしているうちに、金星と月が昇ってきた。星雲星団の観望は終了である。アイピースを差し替えて三日月状の金星と下限過ぎの月を見る。金星はともかく、月は低空にありながらも素晴らしい見え方をしていた。


15cmアクロマート屈折とワイドスキャン32mmの組み合わせで、倍率40倍。


色収差も月を見ているのになぜか皆無(金星は出たが)で、ずば抜けたコントラスト。地球照に照らし出された夜の部分の地形が実にくっきりと見えるではないか。宵は気流が比較的安定しているうえに、コントラストが良いとされる屈折で見たせいもあるだろうが、生涯で一番美しい月だった。また、これほどの鋭像を叩き出した望遠鏡とアイピースを買ってよかったと思えた瞬間でもあった。そして、薄明が始まり長くて短い夜は太陽に追われるようにして終わる。



私は望遠鏡をしまい込んでテントで仮眠を取った。充実した天体観測であり、泥のように眠り込んだ。
この観望会は、美しい星空と、素晴らしい機材のおかげで、近年まれに見る素晴らしい観望会となった。天体観測の醍醐味を芯まで味わったような気がする一晩であり、ここ数年で一番充実した天体観測だった。また再びこの美しい星空の下に来れますように・・・


文責:ヒャクタケ


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