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アイコンプラネタリウム製作記録アイコン
TOPイメージ。最終テスト風景
はじめに

法政天文研究会では2001年から毎年プラネタリウムの自作を行ってきました。
会員はほとんどが文系なので工作の知識も技術もなく、手探りの状態での製作でした。 最初の数年は試作という意味合いが強いもので、長年使えるものは作れませんでした。 そこで2004年度、それまでの経験をもとに耐用年数の長い本格的な投影機の自作をすることになりました。 以下ではその製作工程と完成した投影機の解説をします。


プラネタリウムの概要
ドーム
材質
方式 エアドーム(換気扇を使用)
直径 4m
恒星投影機
材質 アルミニウム(架台は木材)
形式 ピンホール、二球式
最微等級 4等
光源 EX電球(五藤光学研究所)


製作行程
●恒星球
(1)縁の切り取り〜底打ち
調理用の
アルミボウルを使用したので縁がついていたのだが、この縁は投影上問題があるため切り取る必要があった。 切り始めはドリルで数ヶ所穴を開けて、そこから金属用鋸でひたすら切り(写真1)、仕上げにやすりをかけた(写真2)。 また、ボールをより半球に近づける為ゴム製ハンマーで内側をひたすら叩き続けた(写真3)。 二つのボールが同じくらいの膨らみになるまで叩いた。

ふちを切断

写真1:ふちを切断
やすりがけ

写真2:やすりがけ
真球に近づける

写真3:真球に近づける


(2)経緯線を引く
まず経線。ボール上の天頂となる点を決め(ボール外側)、そこから基本とする90度ごとの(直交する)ラインを引いた。 さらに天頂部を30度ごとに当分した点とボールのふち部分を当分した点を結ぶ。すべての線も同様に引く。

次に緯線。紐を天頂から縁までの長さに切り、それを9等分し、紐に印をつける。 その紐の片側一方を天頂部分で固定し、少しずつボールの面に沿ってまわして、紐につけた印と経線が直行する 箇所に印を付けていく。最後にそれらの点を結び一周ラインを引く。(写真4)
経緯線を引く

写真4
:経緯線を引く


(3)プロット作業
星図をOHPシートにコピーし、裏面にした上で星を等星ごとに色分けする。 (1等星=赤、2等星=青、3等星=緑、4等星=黒)緯度、70から90度は見た目でプロット。 40から60度までは一区画を四等分にし、0から30度までは一区画を9等分にしてから、 星図の星と星との間隔を縦横の比で出し、ボール上それぞれの区画の大きさにあわせて算出しプロットする。


(4)穴あけ
穴をあける下準備として、ポンチ作業をする。ポンチをボールに垂直になるようにあて、ハンマーで軽く15回ほど打ち、 幅0.5ミリ深さ0.7ミリほどの溝を作る。あまり強く打ちすぎるとボールが変形してしまうので注意して行った (ドリル刃がひっかかるくらいであればよい)。次に等星ごとにドリル刃の大きさを変えて穴をあけた(写真5)。 1等星=2.0ミリ、2等星=1.4ミリ、3等星=1.0ミリ、4等星=0.7ミリ)
穴空け

写真5:穴空け
すべての穴あけが終了したら、ボールの内側にできた バリの除去作業を行う。4等星などの小さい穴は、アルミの粉塵などで穴が埋まってしまうので注意を払った。


(5)仕上げ
恒星球の下に取り付けるアルミ板には、
乱反射を防ぐための植毛紙を張る。アルミ板と恒星球の固定はすべてのパーツが 完成したあとに行った。固定には多用途用強力接着剤を使うのだが、アルミ板との間にできる隙間が 大きい箇所にはパテで穴を埋めた。完全に隙間がない状態にしてから、幅1センチほどの黒いビニールテープで 恒星球の周りを縁取り、遮光をした。  



●日周軸の加工
適当な長さに切断したアルミパイプを加工していく。パイプの
外径とベアリングの内径が全く同じであったため、 パイプ側を削る必要があった。ベアリングがちょうどはまる位に紙やすりで少しずつ削った。 さらに、恒星球を固定するためのアルミ板の固定用のL字金具を全16ヶ所につけた。この作業は、光源の位置を 左右したためかなり慎重に行った。また、軸先につける高原となる電球のソケットとパイプには隙間があり 不安定であったので、耐熱性のホースを利用した。



●ギアボックスの加工
スイッチング電源、ロータリー接点、セメント抵抗、ベアリング、緯度軸などを固定するための全ての下穴あけ、 タッピングを行う。
それぞれの部品同士が干渉しあわないよう気を配った。アルミ板の折り曲げには万力もどきと 木片を使った。また、感電防止用にギアボックス内側には粘着性ゴムシートを全体に貼った。 さらに、ギアボックスの蓋と側面部分には、透明な塩ビ板を使用した(写真6)。蓋には、ボリューム抵抗とスイッチ用の穴あけと、 開閉を容易にするために蝶番もつけた。
 
(注)将来的にギアをかませて日周運動を電動化する予定のため、光源の回路が入っている箱を便宜的に 「ギアボックス」と通称していた。 電動化は今後の課題である。
ギアボックス

写真6:ギアボックス



●架台
架台にはある程度の強度があり低価格であったラワン材を使用した。木材は購入したホームセンターで加工してもらった。
本来、木材には購入した後すぐにニス塗りをする必要があったのだが、間違えて先に剛性を上げるためのL字金具と塩ビ管を木材に ネジで固定してしまった。(後から全部取り外してニス塗りをした。二度塗り)また、緯度軸を乗せる部分には滑り止め用の シールを張った。(写真7)

また、架台の体積をできるだけ少なくし、見栄えを良くするために完成後、左右を斜めにカットし、台形にした。
架台

写真7:架台




お世話になったお店など
東急ハンズ新宿店 アルミ材、木材、工具〜いろいろ。アルミや木材の加工もお願いした。
DO IT後楽園店 学校から一番近くにあるホームセンター。困ったときはDO IT。
島忠 一般的なホームセンター。塩ビ管、万力もどきを購入。
ヒロセテクニカル 電子部品、ねじ、LEDライトなどなど。
マルツパーツ館秋葉原店 電子部品、抵抗器やスイッチング電源はこちらで。
初心者にもわかりやすい。
日産商会 ベアリングの専門店。
ねじの西川 様々な種類のねじを扱う。
あきばおー 電池等購入。とにかく安い。
CAN DO 100円ショップ。
文具などここで買えるものはなるべく利用させていただいた。
(株)五藤光学研究所 プラネタリウムや光学機器のメーカー。
プラネタリウム用のEX電球を頒布している。


プラネタリウムを製作して
私たち法政天文研の自作プラネタリウムも今年の作品で4代目となるわけだが、今回はこれから半永久的に 使用できるものを作ろうと本格的に始動した。

まず最初にそれまでのプラネタリウムの問題点を挙げ、 私たちが可能な範囲で出来る限り理想に近いものにしようと改善策を考えていった結果、 2球式アルミ製プラネタリウムを作成することになった。私はプラネタリウムに関して全くの無の状態であったため、 先輩方のプラネタリウム資料のほか、 愛知教育大天文愛好会COREさんの 自作プラネタリウムに関する記事も参考にさせていただいた。 この場をかりて御礼申し上げたい。

今、振り返ってみるとプラネを作成する毎日が本当に充実していた。それまでの大学生活をその日暮らしに 送ってきた私にとって、"プラネ"は久しぶりにできた自分の目標であった。
昨年度の総会時(12月)にはプラネ委員に自ら名乗り出ていたのだが、腰の重い私が実際に動き出したのは春合宿であり、 さらに本格的に作業を始めたのは8月末であった。

そこから3ヶ月という期間でプラネを完成させることが できたのはプラネ班員をはじめとする会員各位の協力があったからこそである。私はプラネ作成を通して、 一人では何もできないことを身にしみて感じた。そして学祭を大盛況のうちに終わらせることができた今、 さらなるプラネの発展を促していく必要がある。

現段階では会場設営に関して改良の余地がある。 というより、改良しなくてはならない。 他にもいくつか問題点は残っているのでこれから改良を重ね、年を追うごとにより人を魅了するプラネタリウムが できていくことを期待したい。



参考文献
プラネタリウムを作るに当たって参考になったウェブサイトや書籍を紹介します。

ピンホール式プラネタリウム製作ノウハウ:大平貴之氏による自作プラネタリウムの解説ページ。自作といったらまずはここ。 EX電球の取り扱いなど参考にさせていただきました。

天文愛好会CORE:自作プラネタリウムの構造や設計図、アルミ工作のノウハウなどを公開されています。 恒星球の設計などはこちらの影響を受けています。



執筆担当:佐々木(本文)、小峰(補足、編集)、百武 (写真、レイアウト)


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