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望遠鏡を一式揃えようとすると、どうしても鏡筒部分に目がいてってしまいがちですが、その鏡筒を支える架台の部分が実は一番大事なのです。どんなに良い望遠鏡を買っても、それを載せる架台が駄目では宝の持ち腐れになってしまいます。 良い架台とは、望遠鏡を載せてもぐらつかず、高倍率のピント合わせでも視野がブレない程度の剛性を持つものです。操作性が良いことや重量が軽いことも大事ですが、何よりもまずちょっと触っただけで視野がブレないことが一番大事です。 逆に悪い架台とは、指一本触れただけでグラグラと揺れてしまって、しかも揺れがなかなか収まらないというような架台です。架台は優秀な望遠鏡を生かすためには欠かせないものですので、立派なものを選ぶことが大事です。
三脚は架台全体を支える部分です。架台がしっかりしているか否かというのは三脚がしっかりしているかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。例えば、グラグラの架台でも三脚だけをしっかりとした高級品に替えることで、見違える程安定性が向上したということがよくあります。 さて、三脚は主に金属製と木製のものがありまして、金属製のものが主流となっています。木製はレトロな雰囲気があり、望遠鏡の振動を吸収しやすいという利点があるので、小型の望遠鏡を中心に根強い人気があります。
一方、金属製の三脚は木製のように振動を吸収しないものの、剛性があり、どのような形にも形成可能なため、小型から大型の望遠鏡にまで幅広く使われています。どちらも一長一短がありますが、金属製の方がやや安価なため、初めて望遠鏡を買われる方には金属製をお勧めします。 また、「ピラー」と呼ばれる鉄柱が三脚の代わりとして用いられることもあります。このピラーは主に移動用ではなく、天文台などへの据え付け用として重要がありますが、大型の望遠鏡を使用する人の中には移動用としてピラーを使っている人もいます。ピラー(図3)は重量がかさんで高価なため、移動用としては三脚を使うのがベターでしょう。
さて、三脚を選ぶ際には気をつけることがあります。それは使用する望遠鏡の種類です。 まず屈折望遠鏡ですが、このタイプの望遠鏡を使用する際にはなるべく長い三脚を用いると良いでしょう。というのも、屈折望遠鏡は天頂付近の天体を見るときに接眼部が地面にかなり近づきますので、苦しい姿勢を強いられます。下手をすると地面に腹這いになりながら望遠鏡を覗くということもあります。このような事態を回避するためには、三脚の長さを長くして、天頂付近を見る際でも地面と接眼部の隙間が十分にとれるようにします。 次にニュートン式反射の場合ですが、この場合は逆に短いものを選びます。ニュートン式反射の場合は、下手に長い三脚を使うと接眼部の位置が背伸びをしてようやく届く位置になってしまうことが起こりやすくなり、快適な観測に支障をきたします。ですから、実際に望遠鏡を載せてみて接眼部が届くかどうかを確認してみると良いでしょう。なお、鏡筒によっては天頂付近を見ようとすると三脚に接触する場合がありますので、市販のハーフピラーなどを使用すると良いでしょう。 最後にカセグレン系鏡筒の場合ですが、屈折に準じます。ただし、屈折程鏡筒が長くないため、それほど長い三脚を用いる必要はないでしょう。
さて、直接望遠鏡を取り付ける架台の話に移ります。望遠鏡を載せる架台は、地球の自転によって天空を動く天体を追尾する機構が備わってなければなりません。そういう架台でなければ、天体観測をすることができません。この追尾機構には2つのタイプのものがあります。 まず1つめのタイプは「経緯台」と呼ばれるもので、望遠鏡を上下左右に動かすことができる台です。(図4)主に双眼鏡の架台や、低価格な望遠鏡、ドブソニアン等に用いられている形式で、あまり普及していません。仕組みが単純で軽量なのが経緯台の強みですが、天体を追尾する場合は上下方向と左右方向の2軸を同時に操作しなければならないので、低倍率はともかく高倍率を用いる重星の観測や惑星の観測には向いていません。もっとも、近年になってコンピュータ制御で全自動で追尾をしてくれる経緯台も登場してきました。
2つめのタイプは「赤道儀」と呼ばれるもので、地球の自転に合わせて望遠鏡を動かすことのできる台です(図5)。赤道儀は回転する2つの軸から構成されており、そのうち1つの軸を地軸と平行にすることで、1つのハンドルを回すだけで天体を追尾することができる架台です。使用に際してセッティングが必要であり、構造も複雑で重量もかさみますが、赤道儀は構造上高倍率での追尾も容易な上に、写真撮影等でも使用できますので、最も普及している架台です。
赤道儀は、単なる望遠鏡を載せる架台という見方しかされていませんが、実はこの赤道儀の良し悪しで観測の快適さが違ってくるのです。 例えば鏡筒にばかり予算を注ぎ込んで、あまりに安い赤道儀を買ってしまった場合、確かに赤道儀に望遠鏡は載って動かすことができるのですが、視界はハンドルを動かすごとにブレ、しかもブレはずっと収まらないとか、ちょっと風が吹いただけでも視界はブレまくるという目も当てられない状況になることがよくあります。しっかりとした赤道儀は、鏡筒の載せ替えも簡単にできますし、ちょっと風が吹いたぐらいではびくともしません。 従って、赤道儀には十分な予算をかけて、しっかりとした製品を選ぶことが大事です。 「十分な予算」と書きましたが、実際の目安は望遠鏡と同額と考えて良いでしょう。例えば予算が30万円あったとしたら、そのうち15万円は赤道儀に、残り15万円を鏡筒に使うという具合です。搭載する望遠鏡とほぼ同額の赤道儀を買うのが一応の目安です。 赤道儀は国内各メーカーが作っていますが、Vixen・タカハシ・PENTAXの有名3メーカーの製品から予算にあった製品を選べば良いでしょう。数万円程度の赤道儀から百万円を超えるものまでラインナップされています。どのメーカーのモノを選んでも良いのですが、赤道儀の搭載重量にはよく目を通しておいて下さい。 赤道儀のカタログには必ず搭載重量が書いてあります。これはその赤道儀に載せることができる望遠鏡の重さで、基本的にはこの搭載重量以下の望遠鏡を載せることができます。例えば最大搭載重量10kgと書いてあれば、7kgの望遠鏡は載せることはできますが、14kgの望遠鏡は載せることができません。 また、望遠鏡単体で搭載重量を下回っていても、鏡筒バンドやファインダーなどの合計が搭載重量を上回ってしまう場合もありますので、よく注意をして選んで下さい。
自動導入装置という便利な装置があるのは御存じでしょうか。 自動導入装置とは、コントローラーのボタンを押すだけで目的の天体の方向に望遠鏡を向けてくれる装置です。この装置を用いれば、天体の位置を知らない初心者でも、労せずして好きな天体を見ることができるという夢幻のようなシロモノですが、やはり買ってきていきなり使えるというわけではありません。 ●自動導入装置の使い方 自動導入装置の付いた架台は、地面に置いてすぐ使えるというわけではなく、準備が必要となります。この準備のやり方によって導入精度が決まってくるので、できるだけ入念にかつ正確に行うことが大事です。なお、この準備作業は架台の機種によって違うので、ここでは一般的な手順を紹介するにとどめます。 まず、位置決めをします。 赤道儀の場合は、水準器を使用して架台を水平にし、極軸望遠鏡を使用して正確に極軸を北へ合わせます。経緯台の場合は機種によって違いがありますが、やはり水準器を使用して架台を水平するのは同じです。 次にコンピュータの初期設定を行います。 自動導入装置のコンピュータに、現在の日付時刻と観測地の緯度経度を入力します。多くの機種ではこの作業は1度行うだけで、後はコンピュータが記憶してくれるものが大半ですが、観測場所を変えると、緯度経度の入力をやり直す必要があります。また、コンピュータの内蔵時計も次第にずれてきますので、定期的に補正してあげる必要があります。なお、観測地の緯度経度は国土地理院のサイトから分かりますので、あらかじめ調べておくと良いでしょう。 ※この初期設定を自動で行う架台もあります。 初期設定が終わったら、アライメントという作業に入ります。 架台のクランプを緩め、望遠鏡を初期位置(ホームポジション)に手動で向けます。この初期位置は機種によって違います。初期位置に望遠鏡を向けたら、1等星などの明るい星に望遠鏡を正確に向けます。この作業によって、コンピュータ内で計算された望遠鏡の位置と、実際の望遠鏡の位置との誤差を補正します。このとき、できるだけ望遠鏡を高倍率にして、視野の中にぴたりと星を入れることが、導入精度向上の決め手の一つとなります。また、望遠鏡を向ける星の数を多くすると導入精度が向上します。 アライメントが終了したら、あとはコントローラーに任意の天体を入力すれば自動的に望遠鏡がその天体の方向を向いてくれるはずです。ただし、この精度は先に述べた準備の入念さと架台自体の精度によって違ってきますので、いつでも100%視野のど真ん中に目的の天体が入るということはありません。 ●価格 自動導入装置の付いた架台は当然付いていない架台よりも高価格になります。実用的な精度を持つ自動導入装置単体でも10万円程度はしますので、それを組み込んだ架台となると、20万円以上するものが多くなります。 市場にはもっと安価な自動導入装置付きの架台もありますが、架台の剛性不足や工作精度の不足などによって導入精度が悪く、使用に際しては大変難儀な思いを強いられるものが大半です。 |
